こんにちは、Megです。
突然ですが、私は日本でビジネスホテルのフロントスタッフとして5年以上働いていました。英語を使う機会はありましたが、サービス業なのでスキルとして身に付いたと言えることはほとんどないと思っていました。
ですがカナダでco-opやワーホリを経験してみて、働いている際に『これって前職の経験が活かされているかもしれない』と感じた瞬間が何度かあるんです。
社会人を経験した方は誰しも、専門職のスキルだけでなく、図らずも身に付いた専門外のスキルがあるのではないでしょうか。これは社会人を経験してから留学する方にとって、アドバンテージになるのではないかと考えます。
今回は私がビジネスホテルで働いて得たこと、またそれがカナダの仕事や生活で役立った経験について、シェアしたいと思います。
ホテルの経歴はカナダの就活に強い?
私のカナダでの職務経歴は、カフェ2件とホテルのハウスキーピングのお仕事です。
カフェは全くの未経験でしたが、レジュメを配ったお店からは高確率で連絡をいただけたり、面接に進んだりと、あまり苦労せずに仕事が見つかりました。スムーズに仕事が決まったのは、ホテル勤務5年とレジュメに書いてあったからというのも大きいのではないかと個人的には感じます。
また、カフェの面接の内容として、カスタマーサービスについて聞かれる場面もありました。面接で自分をアピールすることは苦手な方ですが、ホテルで働いていた経験を交えて落ち着いて答えられました。
そして現在も働いているハウスキーピングの仕事ですが、面接の際に
ホテルのフロントとして働いていたことがあるのね?
じゃあハウスキーピングのやり方はわかる?
と聞かれたのを覚えています。レジュメをちゃんと読んでくれていて、アピールする機会を貰えたと感じました。さらに実際に働いてみると、ハウスキーピングでもお客様と接する機会があるので、前職の経験を活かせていると思います。
もちろん仕事探しにはタイミングなどその他の要素が絡んでくるので、一概には言えません。ですが私の経験では、ホスピタリティやカスタマーサービスの業界において、ホテルで働いた経歴・経験はかなり有利だったと思っています。
ビジネスホテルで働いて身に付いたこと
ここからは私がビジネスホテルで働いて身に付けたこと、そしてそれがカナダの生活や仕事において役立ったことを、コンプライアンスに触れない程度に6つ挙げて紹介したいと思います!
電話・メール対応
HSPあるあるでもよく挙げられますが、私も元々電話が大の苦手でした。自分から電話をかけるのも、かかってきた電話をとるのも、緊張してしまい上手く対応出来ませんでした。しかし、ホテルに勤めてからは1日に数十件の電話をとることもザラでした。しかも電話している間は、先輩全員に会話の内容や言葉遣いを聞かれている状態です。お客様からのお問い合わせはもちろん、旅行会社、他ホテル、海外のエージェントから英語でかかってくることもありました。場数をこなしていくうちに慣れていき、ホテルを退職後はコールセンターで働けるほどに対応が上達しました。
一般の方々からすると、ホテルのフロントが事務仕事をしているイメージはあまりないかもしれませんが、メールに関しても同じで、毎日大量にお問い合わせが届きます。むしろ、チェックインやチェックアウトでフロントに立つことよりも、実際には裏で事務的な作業をする時間の方が長いくらいです。
カナダでは電話をしなくてはならない機会が多かったように感じます。以前ブログにも書いたことがありますが、私はフィッシング詐欺に遭った際の銀行への連絡など、込み入った内容を電話で伝える場面がありました。カナダに到着してすぐにも、保険関係や家探し、仕事探しで電話とメールをする機会が多々あったので、前職で慣れていたのは良かったです。
言葉遣い・接客英語
前述の電話やメール対応、そしてフロントでのお客様対応を通して、接客英語の基礎をホテル時代に学びました。とは言っても、カナダで働いてみて接客ではかなり苦労したのですが、基礎がないよりはマシだったと思います。また、話し言葉と書き言葉の両方で英語の丁寧な言い回しを知れたのも良かったです。これは日本で普通に勉強していただけでは身に付かなかったと思います。
日本語の言葉遣いや敬語に関しては、どの会社に入っても学ぶ必要があるとは思いますが、会社の研修で手厚い指導を受けられたのではないかと思います。カナダではシェアハウスの大家さんや面接先のレストランのオーナーが日本人というパターンも良くあります。カナダに居たとしても、日本語の丁寧な言葉遣いや敬語が必要になる場面もありました。
備品修繕
私は『ビジネスホテルのフロントは何でも屋さん』だと思っています。大きいホテルであれば設備や施設の管理担当がありますが、ビジネスホテルの場合、出来るところまでは全部自分達でやっていました。その癖が抜けず、身の回りで物が壊れた時は『直せるかもしれない』と反射的に考えてしまいます。
カナダで仕事中、クレジットカードの機械が壊れた時に、実際に直したこともあります。また、カレッジのクラスメイトの持ち物が壊れた時に、結果としては直せませんでしたが、私が直そうと試みたことがきっかけで仲良くなったということがありました。
怪しい人を見分けられる
これは航空業界や警察関係の方なども同じような能力が付くと聞いたことがありますが、怪しい人に敏感になりました。
ホテルでは毎日たくさんのお客様と接しますが、その全員が良いお客様という訳ではありません。例えば宿泊代を払わなかったり、部屋の使い方が荒かったり、もっと言えば警察沙汰になるような、問題を起こしそうな人はできれば泊めたくないのです。他のお客様や自分達従業員を守るために、このような人を見極める力がつきました。
カナダは基本的に治安が良いとは言われていますが、銃乱射事件や殺傷事件などもここ数年で何度か耳にしました。街を歩く時はいつも気を張っていますし、信頼できる人かどうか、近づいても大丈夫な人なのかを見極める力は、自分の身を守るため日本に居る時以上に重要だと改めて思います。
救急車を冷静に呼べる
私の場合は約5年働いて、2回救急車を呼んだことがあります。どちらも幸い大事には至りませんでしたし、この回数は少ない方だと思います。ですがそれまでの人生では、1度も救急車を呼んだことも乗ったこともなかったので、ホテルに勤めなければ経験しないことでした。
また消防車に関しては呼んだことはありませんが、定期的に消防訓練をやっていたので火災の報告の仕方などは心得ています。
カナダで救急車を呼ぶことはありませんでしたが、ショッピングモールで働いていた際に、電話でモールのセキュリティを呼んだことが数回あります。もし経験がなければ焦ってパニックになっていたかもしれませんが、落ち着いて行うことができました。
広く浅い生活力
ホテルのフロントスタッフは、お客様の滞在全般に関わるお手伝いをします。備品修繕とも少し似ていますが、トイレの詰まりを直せるようになったり、ドアガードを部屋の外から開けられるようになったり、生活していく上での基本的なスキルや知恵が身に付きました。
他には、元々自分のパソコンすら持っておらず、かなり重度の機械音痴でした。ちなみに大学の時はクラスで一番タイピングが遅かったです(笑)ホテルで働いてからはタイピングも早くなりましたし、ショートカットキーやスクリーンショットの仕方、Excelの使い方など、基本的なことはわかるようになりました。まだまだ得意とは言えませんが、なんとか自分でブログを開設できるくらいにはなりました。
まとめ
以上が、私がビジネスホテルで働いて身に付いたことと、それがカナダの生活や仕事において役立ったこと6つでした。
フロントはサービス業とは言えど事務的な仕事も多く、広く浅い知識や能力が付く仕事でした。もっと個人的なことで言うと、私は店舗のブログ担当だったこともあり、その経験が現在に通じていると感じます。当時は嫌々やっていたのですが、振り返ってみると人生は繋がっていて面白いですね。
この記事を通して何が言いたいのかと言うと、『社会人経験で無駄なことは何もなかった』ということです。ひとつひとつは小さいことかもしれませんが、全ての経験がカナダに来て何かしらの役に立っています。
カレッジでも私の周りは、ほとんどが大学生や20代前半の子達でした。羨ましさを感じては『私はもうアラサーだから』と、どこか諦めの気持ちがありました。社会人を経験していても誇れるようなスキルは持っていないし、働いていた5年分の遅れをとっているような気分でした。そんなことを考えていたある日、カレッジのクラスメイトにこう言われました。
私は逆にあなたの経験が羨ましい。夢や目標を持つことに年齢は関係ないし、みんな同じだよ。
この言葉で私は、不安なことに保険を掛けて、諦める言い訳を探していたていたことに気付きました。そして私がもしこの子と同じ大学生なら、きっと同じように他人の経験が羨ましく感じていたかもしれません。結局いつも隣の芝生は青く見えるんですよね。これも社会人留学をしたから気付けたことです。
留学は若ければ若い方が良いとか、社会人留学なんて無駄とか、色々な意見がありますが、いつ行ったとしてもその時のその人にしか味わえない経験があるはずです。少なくとも私は社会人留学をしたことを後悔していませんし、価値のある経験だったと思っています。社会人留学の体験談として、迷っている方の参考になれば幸いです。